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高齢者が入浴中に急死する事故 一人暮らしの元気だった高齢者が、浴槽で心肺停止状態になる事故が散見される。高齢者が浴槽で急死する事故は「ヒートショック」として知られ、年間約1万4000人が命を落としている。交通事故の3倍以上で、冬場に最も多くなる。 元気な高齢者ほど1人で入浴できるため、風呂場で倒れても気づかれない場合が多く、危険である。東京都健康長寿医療センター研究所のウェブサイト「高齢者の入浴事故はどうして起こるのか?」では、ヒートショックのメカニズムはこう説明されている。 1)入浴事故の約8割は、1人で入浴している元気な健康高齢者で起きており、もし入浴中でなかったら死亡せずにすんでいる。 2)米国のようにシャワーですませる習慣がなく、ゆったりと浴槽につかってリラックスする日本人の入浴習慣が突然死の2つの原因を生んでいる。「温熱作用」と「水圧作用」だ。 3)「温熱作用」とは、寒い脱衣所から暖かい浴室に入り、さらに熱いお湯につかり、そしてお湯から外に出る行動が、体温を急速に変化させること。寒いと血管は収縮、温まると拡張し、入浴中に血圧がジェットコースターのように急上昇、急下降を繰り返すため脳梗塞や心筋梗塞の引き鉄になりやすい。 4)特に寒い浴室から熱いお湯につかると、血圧は4~5分で30%近く低下し、極端な低血圧になる。「意識障害」「湯のぼせ」「湯あたり」が生じ、気を失ってお湯の中で溺れる危険が高まる。 5)「水圧作用」とは、浴槽の中では水圧が働いていること。足はポンプのように血液を心臓に戻す重要な役割があるが、お湯の中では深いところに位置するため、水圧が加わり、足から心臓に送られる血液量が増える。ところが、胸の部分もお湯の中にあると、水圧のために胸囲が縮小し胸郭が圧迫されるため、横隔膜が上に挙がる。 6)このため、心臓から肺に送られる血流が抑えられるので心臓の負担が増加する。つまり、足から送られてくる血流が増えるのに肺に出ていく血流が減るため、心臓がパンパンに膨らむ。半身浴では、このような心臓の負担は小さくなる。 こうして、心臓発作が起こりやすくなるのだが、入浴時の温度管理に注意してヒートショックを防止するには、以下の6点が上げられている。 1)脱衣所や浴室、トイレに暖房器具を入れたり、断熱改修工事を行なったりして暖める。高齢者の一人暮らしの場合は、浴室をユニットバスに改修すると、断熱性が向上する。 2)高い位置にセットしたシャワーから浴槽にお湯はりをすると、浴室全体が暖まる。湯沸しの最後の5分を熱めのシャワーで給湯しても効果があがる。 3)夕食前、日没前に入浴する。できれば14~16時の間に入浴すると、寒くないし、生理機能が温度差に適応しやすい。 4)お湯の温度設定を41度以下にする。42度以上にすると、血圧の変動が大きくなる。 5)1人の入浴を控える。可能な限り、家族の見守りや公衆浴場、温泉などを活用する。 6)食事直後、飲酒時の入浴を控える。血圧が上がりやすい。
by yamatokai-ginnka
| 2016-10-25 13:51
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